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Vol.51:オルガニスト小島弥寧子がクラシック・オルガンC-200の響きと鍵盤タッチを体感

ホールのパイプ・オルガンでクラシカルな演奏を行うだけでなく、築地本願寺の副オルガニスト、そして邦楽器との共演など、ユニークかつ多彩な演奏活動を行っているオルガニスト小島弥寧子(こじまみねこ)。今回、日頃の活動とパイプ・オルガンについての話を伺いながら、ローランド・クラシック・シリーズの新製品C-200を試奏してもらい、その魅力を探ってもらった。

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子供の頃にパイプ・オルガンを間近で見て、「オルガンに触ってみたい」と感じた

─ 小島さんは、どのような経緯でオルガンを弾くようになったのですか?

小島:子どもの頃は、クラシック・ピアノを習っていました。でも、コンクールに出たりということもなく、遊びのような感覚でピアノを弾いていましたし、高校も普通科だったんです。そこから大学進学にあたって、将来何をするのかを真剣に考えた時に、音楽の教員になろうと思ったんですね。ただ、教育学部だと多くの事を平均的にできる能力が求められます。でも私は、何か1つのことを突き詰めたいと思ったんです。そこでいろいろと調べてくうちに、ピアノの実技でオルガン科を受験できる大学があることを知りまして、それなら、ぜひオルガンをやってみたいと思ったんです。

─ それまでに、オルガンを弾いたことはあったのですか?

小島:ありませんでした。でも、子供の頃に、親にコンサートに連れて行ってもらって、教会のパイプ・オルガンを間近で見る機会があったんです。その時に感動して「オルガンに触ってみたいな」と感じたことが、ずっと頭の中に残っていたんだと思います。あの響きの中で、重厚な和音を弾きたいという気持ちはありましたね。

─ そこから、プロのオルガニストとして、ずっとオルガンを続けていこうと思ったきっかけは?

小島:パイプ・オルガンはヨーロッパで生まれた楽器ですが、例えば、フランスのバロック時代のものとロマン派時代に作られたものとでは、スタイルがまったく異なります。ドイツやイタリアも同じように、国によって、そして年代によってオルガンの仕様がまったく異なるんです。もちろん、音色や音の名前も違いますし、調律も1音近く高いものや半音低いものなど、とにかくあまりに種類が多すぎて、それらすべてを大学の4年間で学ぶことは到底不可能でした。そこで、大学卒業後に別の音楽大学大学院に進学してさらに学んだのですが、それでも全然勉強が足りなくて、2003年に、横浜みなとみらいホールのインターンシップ・プログラムで、1年間の研修を受けました。

そこでは、オルガニストがコンサート・ホールで何をしなければいけないかということを学びました。簡単な調律や、楽器に不具合があった時の対応だとか、実際にハシゴを使ってパイプ・オルガンの内部を登ったりもするんですよ(笑)。それに、パイプ・オルガンは建物のシンボル的な存在でもありますから、ホールのことを一般の方に知っていただく広報的な仕事や、そのために行うコンサートの企画など、演奏以外のことも、たくさん学ばせていただきました。

─ その流れで、築地本願寺の副オルガニストになったのですか?

小島:それが私自身も「どうして?」という感じなんですが(笑)、大学時代にお世話になった先生が、築地本願寺のオルガニストの方なんです。そして、私がいくつか授業を受け持っている大学がたまたま本願寺系の学校だったこともあって、6年ほど前に「築地本願寺でランチタイム・コンサートを始めたいので弾いてもらえないだろうか。」と、その先生に声をかけていただいたことがきっかけです。実は先生のお父様が、今から40年も前に、お寺にオルガンを導入するという、とんでもないことをされた方なんですよ(笑)。

─ 普通、お寺にオルガンはないですよね?

小島:あり得ないですね(笑)。

─ (笑)では、どのような場面でオルガンが演奏されるのですか?

小島:礼拝――仏教では“らいはい”と読みます――や法要の時に演奏します。「仏教賛歌」といって、キリスト教の賛美歌のような曲があって、曲の響きも讃美歌に近いものがたくさんあります。あとは、仏前結婚式の際に演奏されます。オルガンを演奏したすぐ後に雅楽が始まるとか、とても面白いですよ(笑)。

─ 小島さんは、ホールのコンサートでも邦楽器と共演される機会が多いですが、それも築地本願寺での活動を通してのことなのですか?

小島:これもまた不思議なご縁なんです。自宅近くの誰でも使える公民館のような施設に小さなオルガンがあって、10年ほど前に演奏させていただいて以来、練習に使わせていただいているんです。その近くに、邦楽器のアンサンブルを行っている「日本音楽集団」という団体の代表の方が住んでいらして、「ぜひ、うちのメンバーと一緒に」というお話をいただいたんです。最初は無理だと思ったのですが(笑)、少しずつ試しているうちに、面白くなってきて。

─ 邦楽器の中にも、オルガンと合う楽器、合わない楽器があるのですか?

小島:ありますよ。尺八や横笛などは、オルガンと同じ「笛」ですからよく合いますし、旋律を吹く楽器なので、伴奏もしやすいです。三味線やお琴は伴奏楽器なので、オルガンの役割とかぶってしまいますから、気をつけないといけません。そうやって試行錯誤を繰り返して「いける!」と思うようになってからは、邦楽器の方にお寺にも来てもらうようになりましたし、ホールの方から邦楽器とのコンサートのお話もいただくようになりました。例えばバッハの「トッカータとフーガ」に即興で尺八に入ってもらったりするようなこともありました(笑)。

─ それはクラシックでもありつつ、ジャズ・セッション的な要素もありそうですね(笑)。

小島:セッション的な感覚は、多分にありますね。こういった活動を通して、音楽そのものの聴き方も大きく変わりました。他の楽器の音の聴き方が変わりましたし、オルガンだけを一生懸命にやればいいのではないということが、よく分かりました。コンサートに関しても、演奏だけでなく、企画や照明などの演出も考えて、お客さんに楽しんでいただくとことを強く意識するようになりました。そのためには、クラシックだけを聴いていてはダメですし、もっと広い意味で言えば、音楽だけをやっていてもダメ。もっといろいろなものを見聴きしたいと思っています。

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Profile

小島弥寧子

玉川大学芸術学科オルガン専攻卒業。武蔵野音楽大学大学院音楽研究科修士課程修了。フェリス女学院大学ディプロマコース修了。大学院在学中に福井直秋賞を受賞し、ドイツ、スイス、スペイン、イタリアなど国内外のマスター・クラスに参加する。2003年度横浜みなとみらいホール・オルガニスト・インターンシップ修了。その後は、ソロ及びアンサンブル、オーケストラや吹奏楽団との共演などの活動を行う一方で、オルガン・コンサートの企画、コーディネートにも力を注いでいる。これまでに、オルガンを富永哲郎、伊藤繁、酒井多賀志、藤枝照久、早島万紀子、三浦はつみ、武久源造各氏に師事。現在、武蔵野大学非常勤講師、築地本願寺副オルガニスト。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。

オフィシャル・サイト:
http://blog.engi-project.net/pipe/

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