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> Vol.51:オルガニスト小島弥寧子がクラシック・オルガンC-200の響きと鍵盤タッチを体感

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C-200は、音の立ち上がりとストレスを感じない鍵盤がいい

─ オルガンとピアノは、どちらも鍵盤楽器ですが、両方を熟知されている小島さんにとって、どのような部分が一番違うと感じていますか?

小島:まず楽器の構造ですね。ピアノは打楽器なので、弦をハンマーで打って音を鳴らしますが、オルガンは管楽器なんです。装置を使って起こした風を溜めておく箱があって、その上にパイプが並んでいます。そして鍵盤を押すことで、パイプの下に付いている弁が開いて、パイプに風が送り込まれるという仕組みになっています。ですから、ピアノのように打鍵の強弱で音色を変えることはできないんです。鍵盤を上から叩くと、弁の開閉の微妙なコントロールができないので、思い通りの音が鳴らないんです。オルガンを始めた当初は「なんて応えてくれない楽器なんだろう」と思っていました(笑)。

─ それほど演奏感が違うものですか?

小島:弁を開け閉めする感覚はピアノにないものですから、ピアノを弾く時とはまったく違う指の感覚が非常に大切になります。上から勢いをつけて叩いても、効果はありません。オルガンは、常に鍵盤の上に指を置いておいて、クリアな音を出したい時は、瞬時に弁を開けて、離鍵も素早く行います。また静かで柔らかい響きにしたい時には、ゆっくりと弁を開けて、指を離す時もゆっくり弁を閉めることで、音が「ブチッ」と途切れずに済みます。特に日本では、海外に比べて残響の少ないホールが多いので、音の切れぎわは余計に目立つんです。パイプ・オルガンって、ものすごく大きいですが、繊細な表現が求められる楽器ですね。あとは、足鍵盤があることもピアノとの大きな違いですね。

─ そこの差は大きいですよね

小島:単に足で演奏しないといけないというだけでなく、足を使わない時も下に鍵盤があるので、地面に力をかけられないんです。足を浮かせて座るだけでもかなり腹筋を使うので、これは結構大変ですよ。しかも、その状態で、3段目や4段目といった高い場所にある鍵盤を弾くとなると身体がグラついてしまいますし、力めば力むほど身体のコントロールが利かなくなるので、思い通りの音が出せないんです。そこは何年も苦労しました。

─ そうなんですね。そのパイプ・オルガンも、日本ではどこにでもあるというわけではないですよね? そういう時は、電子オルガンもお使いになるのですか?

小島:はい。これまで、ロジャース・オルガンは何度か弾かせていただいたことがあるのですが、つい最近、クラシック・シリーズのC-330を初めて弾かせていただきました。何より音が素晴らしくて、しかもドイツ系バロックの音、フランス系バロックの音、ドイツ・ロマン派の音、フランス・ロマン派の音、スペインの水平トランペットのオルガンだとか、数えきれないくらいたくさんの音色が鳴らせて、驚きました。鍵盤も、浅い所で音が鳴って、離鍵の際にわずかに引っかかりがある部分などは、パイプ・オルガンと同じ。発音の仕方も、実によく研究されているなと感じました。

─ ありがとうございます。今回、試奏いただいた新製品のC-200は、ポータブルなコンパクト・ボディにC-330譲りの本格的なオルガン・サウンドを搭載しており、より気軽にクラシカルなオルガンを楽しんでいただけるモデルとなっています。このようなタイプは、これまで演奏する機会はありましたか?

小島:ポジティブ・オルガン(移動可能な小型パイプ・オルガン)はよく弾きますが、こういうタイプは初めてです。コンパクトなのに、タブレットの組み合せでたくさんの音色が作れそうですし、カプラー(異なる音色に設定された鍵盤を連結させて同時に発音させる機能。C-200の場合は、2つの音色を重ねて鳴らせる機能)もできるというのは、すごいですね。

─ 試奏の際には、音の鳴り始めをかなりシビアに確認されていましたが、印象はいかがでしたか?

小島:発音する瞬間の「スー」というノイズまで、ちゃんと鳴ってくれるんですね。音の立ち上がりがいいと思いますし、鍵盤もいいですね。C-330のようにオルガンに特化したタイプではなくて、ピアノだとか他の音色でも便利に使えるタイプの鍵盤だと思いますが、弾いていて、まったくストレスは感じませんでした。

─ 「ストレス」というのは、具体的にはどのようなことなのでしょうか?

小島:パイプ・オルガンは、たとえ鍵盤が重くても、ちゃんと理由のある重さです。機械式の鍵盤ですから、その理由を踏まえて上手に力をかければ、腕に負担がかかる事はありませんが、電子オルガンの鍵盤で、変に鍵盤を重くしているようなタイプだと、気をつけないと腕をいためることがあるんです。きっと、普段使わない筋肉を使うためだと思いますが、そういう楽器は、やっぱり演奏したくなくなります。そういう点でも、C-200の鍵盤はすごく弾きやすかったです。

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Profile

小島弥寧子

玉川大学芸術学科オルガン専攻卒業。武蔵野音楽大学大学院音楽研究科修士課程修了。フェリス女学院大学ディプロマコース修了。大学院在学中に福井直秋賞を受賞し、ドイツ、スイス、スペイン、イタリアなど国内外のマスター・クラスに参加する。2003年度横浜みなとみらいホール・オルガニスト・インターンシップ修了。その後は、ソロ及びアンサンブル、オーケストラや吹奏楽団との共演などの活動を行う一方で、オルガン・コンサートの企画、コーディネートにも力を注いでいる。これまでに、オルガンを富永哲郎、伊藤繁、酒井多賀志、藤枝照久、早島万紀子、三浦はつみ、武久源造各氏に師事。現在、武蔵野大学非常勤講師、築地本願寺副オルガニスト。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。

オフィシャル・サイト:
http://blog.engi-project.net/pipe/

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