Top
mnavi Works
> Vol.51:オルガニスト小島弥寧子がクラシック・オルガンC-200の響きと鍵盤タッチを体感

mnavi works Back Number

パイプ・オルガンの響きを知ると、電子オルガンでも、よりオルガンの魅力を表現できるようになる

─ C-200は1段鍵盤ですが、鍵盤を音域で分割(スプリット)することで、2段鍵盤的な演奏も可能になっています。いつもは2段鍵盤で演奏されていると思いますが、違和感はありませんでしたか?

小島:こういうスタイルで演奏するのは初めてでしたが、慣れてしまえば問題ないと思います。2段鍵盤にすることで持ち運びがしにくくなると、かえってこのモデルのよさが失われてしまうでしょうから、これはこれでいいと思います。実はスペインのオルガンが、同じように音域で分割されているんですよ。これは面白いと思いました。それに、ピッチも細かく変えられるんですね。

─ ワンタッチで465(ベネチアン)/440/415(バロック)/392(ベルサイユ)Hzにピッチを変えられます。もちろん、細かい調節も可能です。

小島:調律も、ベルクマイスターやミーントーンにできるんですね。私はミーントーンの音色が好きなんです。チェンバロとか、ミーントーンで弾くと楽しいですよね。(チェンバロをミーントーンで演奏しながら)“古楽器”だな、という感じがしますね(笑)。

─ チェンバロのほかにも、チェレスタやフォルテピアノといったオルガン以外の音色も用意されていますし、さらにはピアノやチャイム、オーケストラ楽器の音色も内蔵しています。アンサンブルの伴奏でオルガンを演奏される方には、チャイムは人気の音色なんですよ。

小島:そうなんですか。チェンバロもチェレスタも、すごく音がいいですね。チェンバロだと弦をはじいているような感覚になりますし、チェレスタにすると、ちゃんと金属製の音板をハンマーで叩いている気分になりますね。何でなんでしょう? 鍵盤の重さが変わっているわけではないですよね。不思議です。

─ 音色によって、鍵盤の動きで音の反応が変わるようになっているんです。打鍵時、離鍵時で音の鳴り方が変わるので、鍵盤のタッチが変わるように感じるんだと思います。チェレスタも、離鍵時に「チャッ」という独特の音が鳴りますから、離鍵の仕方によってもニュアンスが変わります。

小島:これは楽しいです。音色によって、タッチを変えて弾きたくなりますし、そのタッチの違いをきちんと表現してくれるというのは、楽器として素晴らしいと思います。

─ 小島さんのように、クラシカルな楽器を熟知されている方こそ、この楽器のよさを活かしていただけると思います。

小島:これだけ多機能だと、オルガン以外の音色は、私にはなかなか弾きこなせないと思いますが(笑)、それでもこれが自宅にあれば楽しいでしょうね。

─ いつもパイプ・オルガンを演奏している小島さんにとって、C-200の魅力はどのような点にあると感じましたか?

小島:オプションでペダル・キーボード(PK-25APK-7A)も用意されているようですが、やはり足鍵盤を使わなくても本格的なオルガンの音色が楽しめるという点が、一番の特徴だと思います。ピアニストや、普段はシンセサイザーを弾いているキーボーディストの方が、オルガンで伴奏を行うような場合に、とても演奏しやすいと思います。持ち運びもできますから、オルガンのないような場所での演奏にもいいでしょうね。しかも、パイプ・オルガンの価格帯を考えると、ビックリするくらいリーズナブルですから、アマチュアの方がオルガンを楽しむというシチュエーションだと、有意義な存在になると思います。いくらパイプ・オルガンの響きに憧れても、一般の方がホールの楽器に触れられる機会はないでしょう。そのクラシカルなオルガンを、気軽に楽しめるというのは、とてもいいことだと思います。こういう楽器で、オルガンを楽しむ人が広がるといいですね。

─ では最後に、C-200でクラシック・オルガンを楽しみたいというプレイヤーにアドバイスをお願いいたします。

小島:趣味でオルガンを楽しみたいという方でも、実際にコンサートに足を運んで、パイプ・オルガンの本当の響きを知って欲しいですね。そうすれば、C-200のような電子オルガンを演奏する際も、よりオルガンの魅力が表現できるようになると思います。例えばドイツ・バロックのストップの組み合わせや、フランス古典音楽の組み合わせなど、実際の響きを知っているのと、イメージだけで音を作るのとでは、まったく違ってくると思います。同じように、楽器の発音構造を知っているということも大事だと思います。オルガンは弁を開閉させる、チェンバロは弦をはじくという構造を知っていると、自然とそういう音を表現しようとタッチが変わってくると思いますし、C-200は、そのタッチの違いに、きちんと音が反応してくれます。だから、誰が弾いても同じ音が鳴るのではなく、ちゃんと弾く人のニュアンスが表現されるという点が、とても素晴らしい楽器ですね。

▲クラシック・オルガンC-200

  • Check
Prev 1 2 3

Profile

小島弥寧子

玉川大学芸術学科オルガン専攻卒業。武蔵野音楽大学大学院音楽研究科修士課程修了。フェリス女学院大学ディプロマコース修了。大学院在学中に福井直秋賞を受賞し、ドイツ、スイス、スペイン、イタリアなど国内外のマスター・クラスに参加する。2003年度横浜みなとみらいホール・オルガニスト・インターンシップ修了。その後は、ソロ及びアンサンブル、オーケストラや吹奏楽団との共演などの活動を行う一方で、オルガン・コンサートの企画、コーディネートにも力を注いでいる。これまでに、オルガンを富永哲郎、伊藤繁、酒井多賀志、藤枝照久、早島万紀子、三浦はつみ、武久源造各氏に師事。現在、武蔵野大学非常勤講師、築地本願寺副オルガニスト。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。

オフィシャル・サイト:
http://blog.engi-project.net/pipe/

ページの先頭へ