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Vol.53:ビート・マエストロRIOW ARAIがSPD-SXの可能性を探る

ブレイク・ビーツ、ヒップ・ホップ、エレクトロニカ、テクノ等の作品を日・英・米のレーベルでリリースし活躍中のトラック・メーカーRIOW ARAI(リョウ・アライ)。12月7日にソロ名義としては10作品目となるアルバム『graphic graffiti』を自身のレーベルからリリースする彼に最新作の制作秘話を聞きつつ、新製品SPD-SXを“ビート・マエストロ”的視点でチェックしてもらった。

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新作はループ素材をリアルタイムに“出し入れ”した一発録りで作った

─ 新作『graphic graffiti』は、制作をスタートする際にサウンド的なイメージや、トータルなコンセプトは立てて作業を始めたのでしょうか?

RIOW ARAI:そこは毎回、かなり悩むんです。言葉でどうのこうのというのはあまりないんですけど、ブレイク・ビーツをチョップしてビートを組み立てる路線だとか、ちょっとシンセサイザーを使ってやってみたりだとか、いろんな方向性を試して、最終的に、こういう形にまとまったということなんです。だから、イメージと言っても言葉ではなくて「音質」であったり、「音色」、「色合い」、「質感」みたいな感じですね。もちろん、今、自分は何を聴きたいかということもあるし。これまでのアルバムがあったうえで、じゃあ次に何をやったらいいかという側面もありつつ、やっぱり自分自身がノッてこないと作れない部分も大きいですからね。

─ しかも、新しいものを生み出さなければいけない、と。

RIOW ARAI:だから、ブレイク・ビーツみたいなもので、誰が聴いても「RIOW ARAIだ」というものがあるとして、そういうものは作れると言えば作れるんですけど、それって自分にとっては新しいものではないわけじゃないですか。しかも、1~2曲くらいではダメで、アルバムなら10曲程度は作れないといけないわけで。だから、そこそこいい感じで作れても、3曲くらいで止まってしまうこともあるんですよ。僕はバラバラなものを1枚のアルバムに入れるのが嫌なので、「じゃあ、次の3曲はシンセサイザーをいじって作ってみて……」とかっていう感じではないんです。アルバムをトータルで、最初から最後まで聴き通すということを考えますから、カラーは統一したい。今回のアルバムも「それならどういうものを作ればいいんだ?」っていう試行錯誤の末の結果なんです。

─ アルバム全体にすごく統一感があったので、最初にコンセプトを立ててから制作に取り組むスタイルなのかと思っていました。

RIOW ARAI:そこを見つけるのが、いつも大変なんですよ。その統一感は、もう作りながらじゃないと見つかりません。やっぱり「音」ですから、最初に言葉で何かコンセプトが浮かぶということは、ほとんどないですね。

─ そうやって生まれた新作では、ループ感の面白さが色濃く出ているように感じましたが、そこの意識はありましたか?

RIOW ARAI:オーソドックスな手法ではあるんですが、僕は今まで、意外とループで作ってこなかったんですよ。割ときっちりと、最初から最後まで、トラックを組み立てちゃうタイプだったんです。今回は、そうやって組み立てることをやめて、DAW上で、例えば1~2小節、もしくは4、最大でも8小節程度のネタだけがある状態で、それをリアルタイムでミックスしたものを一発録りすることで作っていったんです。構成することをやめて、いわゆるリアルタイムでの“出し入れ”で作っていきました。

─ そういう手法を取り入れた理由は?

RIOW ARAI:トラック制作を始める最初の段階って、今までもまずループ素材を作って、それをオン/オフしながら遊んでいる時間が必ずあったんです。そこから、全体を「どうしようか?」って考えていくわけですが、そうやってループ素材をオン/オフしながら遊んでる時間って、一番“無”の状態なんですよ。今回は、そこを切り取ろうと考えました。だから、全曲ともリアルタイム・ミックスなんです。トラックの長さとかも決めないで、1テイクで。2回目をやると、どうしても「1回目を踏まえて」と考えてしまうので、新鮮さがなくなるんです。だから、録音は1回だけにして、それを多少エディットする程度で仕上げました。

─ とても実験的ではありますが、そのことで、かえってARAIさんの個性が色濃く出ているように思います。

RIOW ARAI:よく人から、過去の作品を例に出して「アレでいいじゃん」って言われたりするんですが、「アレ」っていうのは過去の作品であって、「アレみたいなやつ」っていうものは、絶対にあり得ないわけじゃないですか。結局は「アレ」とは違うものを作らないといけない。しかも、いい意味で期待を裏切りつつ、なおかつ「いい」と言ってもらわないといけない。そういう作品は何なのかっていう答えを探すのが、これは毎回、とても難しいんです。理論的に言葉で「これだ」っていう感じではありませんからね。

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Profile

RIOW ARAI

トラック・メーカー/プロデューサー/DJ。96年にアルバム『Again』でデビューし、『Mind Edit(1999)』、『Beat Bracelet(2001)』、『Rough Machine(2004)』等のアルバムでトレード・マークと言える骨太なブレイク・ビーツとエディット・スタイルを確立する。2003年には『Mind Edit』がUKリリースされ、海外でも注目を集める一方で、さまざまなコラボレーションや、PLAYSTATIONゲーム・ソフト『フロントミッションオルタナティヴ』の音楽制作、TVアニメ『交響詩編エウレカセブン』のサントラにも参加する。2011年に初の自主レーベル「rar(アールエーアール)」を立ち上げ、10枚目のソロ・アルバム『graphic graffiti』12月にリリースする。

オフィシャル・サイト:
http://www.riowarai.com/

Information

CD

『graphic graffiti』

rar-01 ¥2,100
12月7日発売

配信

『bitter beats 2011』

rar-00
iTunes Store/beatport/Amazon MP3で配信中

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