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> Vol.53:ビート・マエストロRIOW ARAIがSPD-SXの可能性を探る

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PCベースのトラックには、生ドラムよりもエレクトリック音色の方がマッチしやすい

─ 新しい作品を生み出すうえで、ARAIさんはデジタル・ツールの将来や今後の可能性については、どのように感じていますか?

RIOW ARAI:多くの人がDAW環境で制作を行うようになって約10年ほどが経っているわけですが、その間にビット数が上がったり、ソフトもバージョン・アップを繰り返していますけど、大きく捉えると、最近はそれほど進化はしていないと感じているんですよ。それこそDAWが登場した時は、波形を直接エディットできたり、コピー&ペーストで音楽を作っていくということがものすごく新鮮で、衝撃的でした。今年の夏に配信した作品『bitter beats 2011』って、まさにその時期に作ったものなんです(注:2001年にアナログEPでリリースされ、これまで唯一CD化されていなかった作品)。ツールとしては、残念ながらそこから進化していないというか。つまり、80年代にサンプラーが登場した時のような、ものすごい進化が、ここ最近はないように感じています。仕方がないことかもしれませんけど。

僕はシーケンサーの時代から今まで、17年ほどPCベースで制作をしていますが、正直言うと、もうDAWの画面を見るのに飽きてしまっていて。PCを使う前って、オールインワン・シンセで制作をしていて、その前はMTRを使っていました。ツールがMTRからオールインワン・シンセに変わった時は「もうピンポン録音(ダビング)しなくていいんだ」っていう驚きがあって、その次の衝撃はMacintosh、そしてDAW。そこで、進化としては頭打ちになっていると思うんです。だから最近は、例えばまたオールインワン・シンセでトラックを作ってみるとか、ちょっとそういう気分になりつつありますね。

─ PCベースの制作は、非常に便利で効率的な反面、クリエイターとしては、やや刺激が少なくなってきたわけですね。

RIOW ARAI:もうDAWがあれば何でもできてしまうと思う一方で、DAW以外のツールを使って作品をクリエイトしたいとも思うんです。例えば、JUPITER-80にはシーケンス機能は搭載されていませんけど、あのクラスのオールインワン・シンセが出たとしたら、それを使ってみたいという気持ちはあります。ハードウェアのシーケンサーならではのよさってあるじゃないですか。独特のノリがあったりして。僕のソロは、インストゥルメンタルのトラック的な作品が多いので、それほど複雑なことをする必要がないんですよ。だからということもありますが、今はDAWじゃない、オールインワン・シンセ的なハードウェアを欲しているという気分ですね。

─ そういう意味でも、今回はパフォーマンス性能を向上させた最新サンプリング・パッドSPD-SXを試奏していただきましたが、ARAIさんは、以前にライブでSPD-Sをお使いいただいたことがあるそうですね。

RIOW ARAI:僕が使った時は、歌モノをプロデュースした時のライブで、内蔵のワンショット音色を使って、ドラムの代わりとして使いました。その時は、オケが完全にPCベースで作ったものだったので、それを流しつつ、リアルタイムにどうやってドラムをプレイしようかと考えた時に、SPD-Sを選んだんです。PCベースで作ったようなトラックだと、生ドラムよりも、こういったエレクトリックな音色の方がマッチしやすいんですよ。

─ 今回、SPD-SXを試奏してみての印象はいかがでしたか?

RIOW ARAI:これは前モデル(SPD-S)にも共通することですが、僕が一番画期的だと感じるのは、エッジ・トリガーですね。ここを叩けるというのが好きなんですよ。本体上部の角がパッドとして使えることで、クラッシュ・シンバルやライド・シンバルのような感覚で叩けて、ドラムに近い感覚でプレイできますよね。じゃあ、平面のパッドが3段あればいいのかって言うと、そうではなくて。普通のパッドが9つあっても、ちょっと窮屈なんですよ。3つのエッジ・トリガーがあるのとないのとでは、まったく演奏感が違いますし、プレイの自由度が大幅に増していると思いますよ。パッドの打感もすごくいいですね。ローランド製品のパッドで一番スゴイと思ったのはV-DrumsのメッシュのVパッドですが、その次くらいに、SPD-SXは打感がいいですね。

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Profile

RIOW ARAI

トラック・メーカー/プロデューサー/DJ。96年にアルバム『Again』でデビューし、『Mind Edit(1999)』、『Beat Bracelet(2001)』、『Rough Machine(2004)』等のアルバムでトレード・マークと言える骨太なブレイク・ビーツとエディット・スタイルを確立する。2003年には『Mind Edit』がUKリリースされ、海外でも注目を集める一方で、さまざまなコラボレーションや、PLAYSTATIONゲーム・ソフト『フロントミッションオルタナティヴ』の音楽制作、TVアニメ『交響詩編エウレカセブン』のサントラにも参加する。2011年に初の自主レーベル「rar(アールエーアール)」を立ち上げ、10枚目のソロ・アルバム『graphic graffiti』12月にリリースする。

オフィシャル・サイト:
http://www.riowarai.com/

Information

CD

『graphic graffiti』

rar-01 ¥2,100
12月7日発売

配信

『bitter beats 2011』

rar-00
iTunes Store/beatport/Amazon MP3で配信中

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