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Vol.55:ジャズ・ピアニスト西山瞳がデジタルピアノLX-15の自然でリアルな響きを奏でる

プレイ面はもとより、世界最大級のコンポジション・コンペティション「International Songwriting Competition(ISC) 2009」で3位入賞を果たすなど、コンポーザーとしても世界的な評価を受けるジャズ・ピアニスト西山瞳。3年振りとなる新作『Music In You』をリリースした彼女に、ピアノ・トリオが生み出すアンサンブルの魅力について話を聞きながら、ローランドピアノ・デジタル最新モデルLX-15の弾き心地について語ってもらった。

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ピアノ・トリオは、ピアニストがコントロールできる要素がたくさんあるオーケストラ

─ アルバム『Music In You』には、「ISC 2009」で"3rd Place"を受賞した「Unfolding Universe」が収録されていますが、この曲は、ピアノ・トリオのジャズでありつつも、音楽的に面白い試みが意欲的に取り入れられた、とてもユニークな楽曲ですね。

西山:そもそも、ジャズの一般的なイディオムである「2-5-1(ツー・ファイブ・ワン)」という進行を使わずに書こうとして作った曲なんです。加えて、ベースがアクティブな曲を書きたくて。ソロの進行自体は機械的に作っているんですけど、その中でどれだけ音楽的に弾けるかという部分もテーマにしました。いわゆる「テーマを弾いて、アドリブをやって、テーマに戻る」というジャズのフォーマットも使っていないんです。最後もテーマに戻らずに終わるようになっていて、そういったジャズのフォームを崩した曲で受賞できたということが、とてもありがたかったですね。でも実を言うと、最初は別のコンペにこの曲を応募したんですよ。ところが向こう側の手違いで、応募期間内に受け取り手続きが終わらなかったんです。「えー!?」と思いながら、でもせっかくだからということで、ISCに応募したんですよ(笑)。このコンペは審査員がユニークで、ジェフ・ベック(Gt)やマッコイ・タイナー(Pf)、ジョン・スコフィールド(Gt)がいたりして、彼らに聴いてもらえたら面白いなという気持ちもあって、応募しました(笑)。

─ そうだったんですか(笑)。この曲はもちろんですが、アルバム全体を通して、柔らかい響きでありつつ音の輪郭がクリアで芯もあるという、西山さんのピアノ・タッチがとても印象的でした。

西山:ありがとうございます。私は、ちょっとだけ"けぶった"ような音色が好きなんです。だからと言って、ペダルを踏み過ぎてもいけないので、そのバランスが難しいんですけど、いわゆる多くの人が憧れるような"きらびやかなピアノ"といったような音色は、あまり好きではなくて。硬い音よりも、少し柔らかくて、楽器が大らかに歌うような状態が一番好きなんです。私がジャズを好きになった頃に聴いていたアルバムがそういうピアノばかりでしたので、自然と頭の中に、ピアノの音色のイメージができているんだと思います。それともうひとつ、音質面で言うと、今回はデジタルではなく、アナログ・テープで録音したんです。ですから、よく聴くとノイズも入っているんですが、アナログのザラっとした感触や、暖かな肌触り感が残っていると思っています。「テープの残りがあと何分です」というような緊張感のある中でレコーディングしたのは、今回が初めてでしたね(笑)。

─ ピアノのタッチや音の質感は、音数のシンプルなピアノ、ベース、ドラムといったピアノ・トリオの場合に、より楽曲全体の印象に大きな影響を与えるものだと思いますが、西山さんは、ピアノ・トリオの魅力はどこにあると感じていますか?

西山:ピアニストがコントロールできる要素がたくさんあるオーケストラだと言う点です。だからこそ、ピアニストはトリオで勝負したいという気持ちが強いんだと思います。お客さんでも、トリオ以外だと聴きに来ないという方もいらっしゃるんですよ。それくらい、完成されたフォーマットなんですね。自分で100%を弾いて完結させる世界ではありませんが、自分が出す音が、どの楽器より多いわけです。だから、どれだけ我慢して人の音を聴けるかというのも、ピアニストにとってトリオの面白さだと思います。ソロと違って、トリオの場合は労力の半分くらいは、周りの人の音を聴くことに費やしますね。

─ では、ピアノそのものを演奏するうえで、重きをおいている点はどこですか?

西山:他の人より意識しているかなと思うのは、ハーモニーです。これは、トリオの他の楽器では出せないものですから。和音がどれだけきれいに混ざるか、しかも他の楽器を邪魔せずに広げられるか。もちろん、それでアンサンブルを壊してしまうとダメですから、そのあたりの塩梅は、演奏していて面白いと思います。

─ 楽器を始めたばかりの人がアンサンブルを学ぶには、どのようにしたらいいとお考えでしょうか? アドバイスがありましたらお願いします。

西山:違う楽器との演奏は、お互い外国語で喋るようなものなので、とにかく音楽で、多くの楽器とたくさん喋ってみることだと思います。相手に分かってもらうために、まず小さな単語から喋ってみるくらいの気持ちで始めるといいと思うんですよ。ただし、分かってもらおうとして自分が喋りすぎると、人の話を聴かなくなってしまうので、そのバランスは難しいですけどね。ベーシストやドラマーの人にも、ジャズをする以前に、音楽をするという気持ちで演奏して欲しいと私は思っています。「俺はジャズ・ドラマーだから、こう叩く」という気持ちで臨まれると、完全に別言語になってしまいます。特にドラマーやベーシストはリズムをキープすることが重要ですけど、そこだけで固まってしまうと、他の楽器と会話ができなくなってしまうと思うんです。なるべくニュートラルな気持ちで、音楽家として、どうすれば音楽が一番いい状態で消化できるか、そこを考えると、全体のアンサンブルがいいものにできるんじゃないかと考えています。

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Profile

西山瞳

6歳よりクラシック・ピアノを学び、18歳でジャズに転向。大阪音楽大学短期大学部音楽科音楽専攻ピアノコース・ジャズクラス卒業。畑本浩氏、石井彰氏に師事し、在学中よりプロとして演奏活動を開始する。2004年、自主制作アルバム『I’m Missing You』を発表。ヨーロッパ・ジャズ・ファンを中心に話題を呼び、5ヶ月後には全国発売となる。以後、スウェーデン録音による3枚のアルバムをリリースし、2010年には「ISC2009」で、全世界約15,000エントリーの中から自作曲「Unfolding Universe」がジャズ部門で3位を受賞。2011年、3年ぶりのアルバム『Music In You』をリリースし、芸術作品として重厚な力作であると高い評価を得ている。

オフィシャル・サイト:
http://hitominishiyama.net/

Information

CD

『Music In You』
西山瞳トリオ

MT-002 ¥2,500

『Astrolabe』
西山瞳

(2012年3月14日発売)
MT-003 ¥2,500

『El Cant dels Ocells』
西山瞳/安ヵ川大樹(Bs)

(2012年3月14日発売)
DMCD-20 ¥2,500

LIVE
西山瞳トリオ『Music In You』発売ツアー

1/19(木) 名古屋・jazz inn LOVELY
1/20(金) 大阪・Mr.Kelly's
1/21(土)神戸・Creole
1/22(日) 広島・Speak Low
1/28(土) 東京・仙川アヴェニューホール

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。

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